ちょっと前に日経にも掲載され、AIと不動産投資を組み合わせた会社の話を聞いてきました。
AIと組み合わせて行うというのを全面に押し出している会社なので、説明に来る人もフィンテックのこととか、不動産投資に限らず金融商品全般に精通していると楽しみにしておりましたが・・・
最初の切り口は個人年金保険
話題のつかみというか、とっかかりは、不動産投資のリスクの低さをアピールするためなのか、個人年金保険と比較してどうかというものでした。
30年間で2200万円の年金保険を貯めるのに、だいたい総投資額はいくら必要でしょうか?とのこと。
だいたい2100万円は自己資金として入れる必要があるそうです。
月に換算するとだいたい6万ちょっとです。
まぁここまではそりゃそうですよねって感じです。
違和感を覚えたのがここからです。
なんと個人年金保険を比較対象として不動産投資を語り始めたのです。
曰く、「不動産投資であれば家賃を利用すれば、ほとんど手出しなく、なんなら毎月少しプラスの状態で同じぐらいのことができます!」
豚もおだてりゃ木に登るとはよくいったもので、私も「へぇーそれはすごいですね」とかいうもんだから、ますますヒートアップしてくるわけです。
「不動産所得を得れば色々なものを経費算入できるので、節税にもなりますよ!例えば飲み会のお金とかもね!みんなやってますよ!」とか言っちゃう始末。
リスクの説明は?
気になってはいるが、リスクがあるんじゃないか・・・という態度を取り始めてみました。
すると出るわ出るわ適当な説明が・・・
「そもそも個人年金保険を販売している保険会社はほとんど不動産で運用しているので、個人年金を持ったとしても同じリスクを抱えることになりますよ」
→言うまでもないことですが、保険会社の総資産に占める不動産の割合なんぞは5%もあればいい方です。基本は金利性資産での運用です。ALMって言葉知ってるのかな?
「空き室リスクは当然ありますが、それは当たり前ですよ。そのリスクがなかったらみんなやりますから」
→さっきは手出しはないどころか、毎月少しプラスになります!っていってたのにね・・・
「不動産は収益還元法で販売価格を鑑定しているので大丈夫ですぅ!」
→それは何のアセットでも一緒です。むしろ出口となる売却価格でいくらでも操作できる不動産の収益還元法による鑑定評価ほどあてにならないものはありません。そもそも収益還元法の意味わかってる?ちなみに分母の割引率はどういう数字になってるのかな?
そもそも何がいけなかったのか
この会社の説明方法の何がいけなかったのか?
言うまでもないですが、個人年金保険を比較対象に持ち出していることです。
リターンの源泉となるリスクが全く異なる二つの資産を比較して、利回りだけ見てこっちの方が有利ですよねと言っても何の意味はありません。
そもそも個人年金と異なり、不動産は様々なリスクをもっているわけですからその分リターンが高くなって当然です。
いたずらに不動産投資が有利になるような説明は本当に辞めた方がいいのになぁと強く感じた次第です。それだけで投資用不動産会社の品位が落ちるというものです。まぁそもそも彼らに品位なんぞないのかもしれませんが・・・
ちなみに例によって例の如く、説明に来ていただいた営業の方はイケイケのツーブロックの若い方でした。
最後に
事前に私の素性(金融機関勤務で資産運用部門に所属)を明かしていたにも関わらず、突っ込みどころ満載の説明は非常にいまいちでした。
上の書き方だと営業の方は一人のように見えますが、実は途中から上司の方も合流して2人から説明を受けてます。ちなみに収益還元法云々いったのは上司の方でした。
正直こんな説明をする会社はろくでもない会社だと思いますが、唯一いいなと思ったのは管理費用が格安だったことです。
賃貸管理面での説明については一定程度納得のいく説明だったので、ここが物件販売と物件管理を切り離してサービスを提供してくれるのであれば、物件管理についてはお願いしたいなと思った次第です。
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