野村證券 第2事業法人部


久しぶりの読書感想です。
今回ご紹介する本は「野村證券第2事業法人部」です。

著者はオリンパスの粉飾決算事件に巻き込まれた元野村證券の証券マンです。
個人の手記のようなものは読まないのですが、ノルマ証券とも囁かれる野村の営業現場等の実態について、金融機関に勤務する人間として興味があったので購入しました。

ざっくりとした構成としては、前半が野村證券時代の話で、後半がオリンパスの粉飾決算事件に対する弁明といった感じです。まず一読して感じたことは、前半と後半とではまるで人が違うんじゃないかと思うぐらい仕事に対するツメの程度が異なります。そこがまたなんだかおかしくもありました。

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野村證券時代の話

この本の中で一番興味があったパートでしたので、一気に読み終えました。
感想を一言で言うなら、こんな会社が業界最大手なんだから、そりゃ日本人の金融リテラシーは低いわ、です。

就職活動時代に、金融機関の中でも証券は人でなしじゃないと勤まらないと言われましたが、まさにこの本を読む限りではその通りだったんだな改めて思いました。

今ではとても考えられないようなことの連続です。以下いくつか例を挙げてみます。

・損が出てたので、お客さんの家の前で運用報告者が届くのを待ち、それを破り捨てる。
・俗に言うロクイチ国債(表面利率が6.1%の10年国債)が発行された時に、大損を出していたお客さんのところに、その損を取り返すといった名目で全く売れていないファンドを、残りの枠がわずかしかないといった手法で焦らせて、投資させるという半ば詐欺のような行為。

これらが武勇伝かの如く語られております。どれも犯罪では?と思ってしまうぐらいの行為です。

しかしながら、今のようにインターネットで誰でも気軽に情報を取りにいけるような時代でもなく、投資の敷居が高かった時代には、上記のような行為も含めて手数料のうちに含まれてしまうのかなとも感じます。

オリンパスの粉飾決算事件

前半とは打って変わって非常に難解なスキームが登場します。

損失を隠すために行う飛ばし行為の全容です。SPC(タックスヘイブン国に設立されたペーパーカンパニーと思っていただければ十分です)を幾重にも重ねたスキームです。

これについての弁明のようなもので、前半の野村證券時代の話では自分は間違いなくいったとか、録音していたので間違いないとかいったように、そもそも自分が正しいということが大前提にあったが、後半の粉飾決算事件となると、自分は全くそんなことをいっていない、○○さんに任せていたので知るところではないといった論調に変わり、本当に同じ人なのかと思わず感じるほどでした。

まとめ

後半のオリンパス粉飾決算事件のパートになると入り組んだ飛ばしスキームの話になるので、SPCになじみがない人にとっては苦痛でしかないと思います。個人的にはSPCの正式名称なんかは使わずにAとかBとか単純な記号のようなもので呼称すればよかったのではと感じます。仕事柄私は比較的SPCにはなじみがあるほうですが、SPCは長ったらしい英語の名称がほとんどなので、実際に利害関係にないとなかなか頭に入ってきません。実際私も何度もページを言ったり来たりして辟易しました。

この本の見所はやはり前半の野村證券時代の話でしょうか。嘘か本当かはわかりませんが非常に生々しく書かれていますので、サラリーマンであれば非常に興味を持って読むことが出来ると思います。

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