学資保険の本質とリスク


最近私も、学生時代の友人で妻子持ちになる人がちらほらでてくる年齢になりました。

おめでたい時に決まって聞かれることは、学資保険ってどう思う?という質問です。

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学資保険の本質

学資保険は死亡保障貯蓄型保険の組み合わせです。

恐らくこんなシンプルな説明をする保険営業はありません。

なぜかって?

自分でも用意できるんじゃ・・・と思われるからです。

金融庁なんかはこういうセールストークを改めていきましょうよといってるわけです。

例えば学資保険であれば、「学資保険は死亡保障と貯蓄の組み合わせです。つまり掛捨ての死亡保険と国内外債券の投信を組み合わせればほぼ同じようなことができて、手数料はこれだけ差があります。もっともご自身で投信等で運用した場合は元本割れのリスクがありますが、学資保険は原則元本割れはありません。どちらにしますか?」といった具合のセールストークにしましょうというわけです。

少し話が脱線してしまいましたが、要は上述のセールストーク例に書いたとおりで、その気になれば掛捨ての死亡保険と投信あるいは個人向け国債を組み合わせれば自分で作ることが出来ます。

死亡保険単品を自分で用意する場合

掛捨ての死亡保険っていってもそこそこするんじゃないの?と思われるかもしれません。

一旦、ここで冷静に立ち止まって見ましょう。

そもそも学資保険で貯めようとしている金額は大体どれぐらいでしょう?

だいたい200万、多くても300万です。

保険会社が大体それぐらいが平均としてプランを持ってくるからです。

つまり死亡保障についてもせいぜい300万です。

300万の掛捨ての死亡保険っておいくらかご存知でしょうか?

調べてみたところ、例えばSBI保険というネット保険だと30歳で300万の死亡保障は毎月500円もいきません。

会社の福利厚生としてグループ保険があれば更に安上がりに入れるはずです。

次に学資保険についてみていきます。

学資保険に加入する場合

300万貯めることができる学資保険のうち最も返戻率が高い学資保険は、明治安田生命の「つみたて学資」でしたので、これで見て行きます(ちなみに200万だとソニー生命のほうがより高い返戻率です)。

前提の条件は30歳で15年間毎月払込、18年目以降に合計300万受け取るというものです。

この場合、毎月の保険料は約16,000円、返戻率は約104%です。

返戻率だとわかりにくいので、年利で換算すると0.34%です。

300万の死亡保障(保険料の払い込みが免除になるので同等の効果とします)と18年後以降に合計300万の満期金が支払われる保険は、毎月16,000円15年間払込めば用意してくれます。

このときの運用利回りは年利0.34%です。実際は18年目に一括して300万が支払われるわけではないので、本当の年利はこれよりももう少し低いはずですが、簡便化のためそこは考慮しません。

次に2017年2月にJPモルガンから公表された各アセットクラスの期待収益率をベースにこの年利と比較していきます。

各アセットクラスの期待収益率

代表的なアセットの今後10年~15年間の期待収益率の見通しは下記の通りです。

①日本国債:0.25%
②日本株式:4.75%
③先進国国債(ヘッジなし):1.25%
④先進国国債(ヘッジあり):0.75%
⑤先進国株式:5.50%

学資保険相当ということで、もし自分で運用するとなると①日本国債と④先進国国債(ヘッジあり)がメインになるだろうと思います。

実際には自分で運用するとなると投信になると思いますので、投信の信託報酬手数料が発生しますが、ここではそれを抜きに考えて、単純に期待収益率だけを見ると、年利0.34%というのは自分でも達成できそうな数字です。

ただし繰り返しになりますが、自分で運用する場合、元本割れするリスクがあります。

学資保険に加入すべきか?

運用とかよくわからないし、元本割れする可能性が少しでもあるのが嫌という人は無難に学資保険に加入することをお薦めします。

一応はプラスになりますし、死亡保障もついてますから、申込み時の煩わしささえクリアすれば、あとは放置です。

また現状生命保険に何も加入してない人も加入したらいいのではと思います。

生命保険料控除を利用すれば、利回りの上乗せを期待できます。

しかしながらその場合は学資保険ではなく、以前からお薦めしている明治安田保険の「じぶんの積立にすべきです。

利回りは落ちますが、こちらのほうがいつ解約しても元本割れしないので、資金の拘束がないからです。

一方で「年利0.34%?それなら自分でやったほうがどう考えてもいい!」という方は掛捨ての死亡保険に入りつつ、ジュニアNISAを活用するなどして投資信託で運用すべきでしょう。

ちなみに私は当然後者です。

債券だけでなく先進国株式もポートフォリオに加えていけば、18年という時間も味方につけて比較的高いリターンが期待できるでしょう。

学資保険のリスク

最後に学資保険に潜む最大のリスクを述べておきたいと思います。

学資保険に限らず貯蓄型保険の加入によるリスクというと、大概の人は保険会社の倒産とか言ったりするもんですが、そんなやわなもんではありません。

ズバリ、インフレです。

給付額、上記の学資保険の例ですと300万と支払われる額が確定していると、物価が上昇した場合に給付額が実質目減りしてしまいます。

日銀が目指している2%の物価目標に当てはめると、理論上は18年で2倍とまではいきませんが、1.5倍近くになります。

文科省が公表している国立大学の授業料の推移なんかもみてると、あながち机上の空論ではないなと思ってしまいます。

そんなことも考えると18年も先の給付金額を固定させることは、非常にリスキーであるとわかります。

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