保険に加入する時って、保険商品そのものの合理性ばかり話されます。
その一番の例が、最近はやりの三角形の保険です。
「現役時代に必要となるお金って年々減っていきますよね?四角形の保険は、年々減っていく部分に対応してないので無駄な保険料を払ってることになります。一度シミュレーションしてみませんか?」
こんな具合のセールストークを受けるわけです。言ってることはもっともなので、妙に納得してしまうのですが、説明される側としては保障が年々減っていくのは何となく不安に感じてしまう。
「本当に減って大丈夫なのか??」
実はあながちこの不安は間違ってなくて、今はデフレなのでさほど気にはなりませんが、インフレに転じた途端、三角形の保障は四角形の保障と比較すると大きく目減りしてしまうわけです。
物価上昇によりお金の価値が減ってる中で、年々保障金額も減っていくので、ダブルパンチを食らうわけです。
私もそうですが、この数十年ずっとデフレでした。
生まれた時から物価は下落するもの。
ハンバーガーは一時80円台になるし、牛丼も280円の時があった。
100円ショップにそこそこの品質のものがあったりします。
今でこそ当たり前になったので目新しくありませんが、私が子どもの時って今ほどは100円ショップはなかったので、その価格破壊っぷりには驚きました。
ハンバーガーとか牛丼は今では少し値上がりしてますが、概ね価格は緩やかに下落ないしは停滞しているような印象があります。
しかし、もっと長いスパンで見ると圧倒的にインフレの期間の方が長いのです。
デフレの期間なんてこの数十年にでてきた、いわば新参者です。
経済成長すれば基本的に物の値段なんて上がっていくもんです。私たちは潜在意識の中にインフレが基本という考えがあるのです。
考えてみれば当たり前です。がんがん企業が成長していってるのに、作る商品はそれに反比例してがんがん値段が下がる。こんなんじゃどこで利ザヤとるのって話です。
その意識があるので、年々下がる保障にほんまに大丈夫かいな?と思ってしまうわけです。
誰が儲かるのか?
インフレになって保障が目減りした分はだれか補填してくれるのでしょうか?
当然そんなことはだれもしてくれません。世の中は厳しいのです。
じゃ結局誰が儲かるのかというと、当然保険会社です。
やり方としては、国が世界的な低金利環境下で永久劣後債をばんばん発行し、インフレに誘導し、永久劣後債の価値をさげて借金をチャラにしようとするのと似たようなもんです。
唯一違うのは、保険会社はインフレに誘導するトリガーを持っていないだけです。
トリガーをもってないだけで、発行された劣後債を引き受けることで加速させることはできますけどね。
話が若干それたので元に戻しますと、保険会社は基本的に金利性資産で運用するため、金利が上昇(=インフレが進行)すれば利ザヤを大きく確保できます。
最近はあまり聞かなくなりましたが、一時期よく言われていた保険会社の逆ザヤというのは、運用利回り以上に保険の予定利率の方が高いために損を垂れ流している状態のことです。
単純に考えるとインフレが進行すれば、逆ザヤの反対、順ザヤ方向(運用利回り>保険の予定利率)に進んでいくので、保険会社は大きく儲けることができます。
要は入ってくるお金を適当に債券に投資するだけでいいわけです。保険会社はぼろ儲けです。
でも金利が上昇すれば資産価値そのものが目減りするから財務諸表が悪くなるのでは?と思うかも知れませんが、それは資産サイドだけの話です。
負債サイドをあわせて考えるとその動きというのは相殺されます。いわゆるALM運用というやつです。簡便的なイメージは下の絵のとおりです。
急激な金利上昇はあまり好ましくないでしょうが、緩やかな金利上昇というのは保険会社的には非常にありがたい状況のはずです。
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