iDeCo(個人型確定拠出年金)普及に立ちはだかる一つの壁


以前、iDeCo(個人型確定拠出年金)に関する記事を書きました。
金融機関に勤務する人間として、iDeCoは大きなビジネスチャンスになると思っていましたので、新制度がスタートする来年1月から爆発的に普及すると思っておりましたが、なかなかそうもいきそうにないようです。

法改正が可決したときにはその壁があることも知っていましたが、そんな大した壁ではないと思っておりましたので甘く見ておりました。これが意外にも大きな壁だったようです。
基本的に以下で書いていくことは来年1月以降の新制度を想定して書いていきますので、ご留意ください。

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そもそもiDeCoにより新たに広がる加入対象は?

以前の記事と重複しますが、新制度で新たに加わった加入対象は下記の通りです。

1.確定給付型年金に加入しているサラリーマン(国民年金の第2号被保険者)
2.企業型DCに加入しているサラリーマン(国民年金の第2号被保険者)
3.公務員(国民年金の第2号被保険者)
4.国民年金の第3号被保険者(つまりサラリーマンや公務員の妻)

上記の4つに分類される人が新たに加入対象となり、ほぼすべての人が加入対象となるように思えます。

普及を阻む壁とは?

上述の通りほぼすべての国民が加入対象になっているように思えます。
特に3.公務員の方なんて、iDeco自体が国主導で普及を促進しているものですから、何も心配しなくても加入できるでしょう。この新たに加わる公務員層は金融機関にとっては大きなビジネスチャンスになるでしょう。全国どこにでも公務員はいるわけで、金融機関も全国各地に営業拠点があるわけですから、iDeCoを糸口に他の金融商品にもつなげることが出来ます。

割を食うのは、2.企業型DCに加入しているサラリーマンで、私もここに該当します。
別に加入対象に認められてるから何の問題もないじゃんと思われますが、さにあらず。
この層の加入には条件がありまして、下記の但し書きがあります。
『会社規定でマッチング拠出を行わないこと及び個人型DCへの加入が認められている場合に限る』

要は各会社に存在する企業年金規約みたいなのを改正しなければいけないわけです。
私自身どうってことないだろうと思っておりましたが、日本の企業体質はそうはいきません。
そもそも誰がやるんだという話からはじまり、福利厚生に関わる話ですので組合とも交渉しないといけないだのなんだので、結構大きな問題になるわけです。
会社側から見ても七面倒なだけで会社収益を向上させる業務でもないわけです。
(金融機関であればそうでもないと個人的には思いますが・・・)

結局iDeCoの爆発的な普及を阻むのは、各会社の企業年金に関する規約の改正手続きなのではないかと思うわけです。

実際先日の日経ヴェリタスにも、「複雑な手続きを敬遠して改正法への対応を検討している企業は全体の6%」という記事がありました。どういう母体で6%なのかという話題は一旦置いておくとして、6%は少なすぎではないでしょうか。しかも対応を進めているとかではなく、検討している企業なわけです。ちなみに私が勤めている金融機関は規約の改正を進めている気配はありません・・・

ではどうすればいいのか?

手続きが煩雑だからという理由で頓挫されたら、こっちとしてはたまったもんじゃないですから、どのように動けばいいのでしょうか。

個人的には労働組合を通して会社に粘り強く要望を出し続けるしかないのかなと感じています。私なんかは組合の集会の場や要望書でずっと意見を出し続けています。笑
それでもなかなか動きは見られませんので、労働者からアクションをしないと絶対に会社は動かないのではないかと思います。

またこういったブログ等の場で多くの人が現状を書いて、世の中が動くきっかけを作るしかないのではないかと感じます。Yahooニュースなんかで取り上げられたりしたら勝ちなのではないでしょうか?

余談

複雑な手続きがあるため会社が対応を敬遠しているとのことですが、普通の事業会社であればそうなのかもしれませんが、iDeCoの運営管理機関になれる金融機関、特に大量の従業員を抱えるメガバンクや保険会社は、むしろ率先してやるほうが会社収益には貢献できるのではないかと感じます。

上述のような金融機関というのは、何万人も従業員がいるわけですから、そこをマーケットと考えれば、自社の従業員だけでかなりの顧客を獲得できます。また人の性質上、実績がある(iDeCOの場合は加入者が多い)所に任せることに安心を抱く人も少なからずいるわけですから、その層のアプローチにおいてもスタートダッシュをかけることができます。

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