個人型確定拠出年金(個人型DC)導入に向けて~加入対象・メリット・掛金上限


金融機関に勤務しているので、当然ながら会社に企業年金があり、今まで個人型DCは縁のない存在でした。しかし今年の5月に法改正が行われ個人型DCの加入対象が大幅に拡大され、ほとんどの会社員に加入のチャンスが広まりました。

法の実施時期はH29年1月から、つまり来年からですので、まだ時間はありますが、乗り遅れぬよう準備すべくまとめて行きたいと思います。

主に新制度で加入対象となるサラリーマンに焦点をおいて書いていきますので、ご留意ください。

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現行の加入対象は?

まずは現行の個人型DCの加入対象をざっと見ていきます。

基本的には日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者など国民年金の第1号被保険者、60歳未満の厚生年金保険の被保険者(国民年金の第2号被保険者)が加入対象です。

これをみるとなんだサラリーマンでもいけんじゃんと思われるかもしれませんが、現行制度では第2号被保険者については、勤務先で、確定給付型年金や企業型DCに加入している人は除くという但し書きがあります。

それでもまだ勤務先で企業年金等に加入してないから大丈夫じゃんと思いますが、さらにここにも但し書きのようなものがあり、一定の勤続年数または年齢に達していないために加入できない、加入を選択しなかった人も企業型年金に加入している人に含むとあります。

要は勤務先で企業型DCが用意されていれば自動的に加入対象外になります。そしてほとんどの金融機関は福利厚生制度の一つとして従業員向けに企業型DCを用意しておりますので、現行制度においては金融機関勤務の人間はほとんどといっていいぐらい自動的に加入対象外になります。

その他に公務員や国民年金の第3号被保険者も個人型DCの加入対象外となっております。

新制度の加入対象は?

それでは来年1月からの加入対象はどのように拡大するのかですが下記の通りです。

①確定給付型年金に加入しているサラリーマン(国民年金の第2号被保険者)

②企業型DCに加入しているサラリーマン(国民年金の第2号被保険者)

③公務員(国民年金の第2号被保険者)

④国民年金の第3号被保険者(つまりサラリーマンや公務員の妻)

つまりほぼすべての人が加入対象になるのです!

もっとも②の企業型DCに加入しているサラリーマンについては、会社規定でマッチング拠出を行わないこと及び個人型DCへの加入が認められている場合に限るという但し書きがあります。

正直この会社規定がどの程度一般的なものなのかというのはわかりませんが、貯蓄から投資へという動きの強い昨今であれば、上記のように規定していない企業でも、規定を改正せざるを得ないでしょう。ましてや貯蓄から投資への動きを先導すべき金融機関であればなおさらそうなることでしょう。(あくまでも希望的観測です。)

確定拠出年金のメリットってなんなの?

そもそも確定拠出のメリットは何なのかということで、簡単にまとめておきますと、

①掛金が全額所得控除の対象になる

②運用益が全額非課税

③受給時の控除枠がある

という節税メリットがあります。特に①の掛金が全額所得控除というのは大きいです。一般的に老後資金の準備としては国民年金や厚生年金、その他に生命保険、個人で投資を行うなどが考えられます。このうち国民年金や厚生年金は全額所得控除で、生命保険については生命保険料控除があり、一定額までは保険料が控除の対象になります。一方で投資信託や株への投資については投資資金が控除対象になることはないですし、運用益等にも課税が課されます。NISAを利用したとしても、掛金は当然控除対処にはなりませんし、運用益に対する非課税期間も講習した年から5年間です。長期運用を考えるにあたりコストを削減できるかというのは、リターンに直接関わってきますので、非常に重要になってきます。DCとNISAの簡単な比較を下記の通りまとめておきます。

DCNISA

もっともDCについては、60歳になるまで資金の引き出しが原則できませんので、その点だけには注意しないといけません。NISA等はいうまでもなく自由です。つまりある程度余裕資金を投入しないといざというときに首が回るなくなるということですので、この点はくれぐれもご注意ください。

掛金の上限額は?

掛金が全額控除になり運用益も非課税と非常においしいDCですが当然ながら掛金に上限があります。ここではその上限を確認して行きたいと思います。

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新制度における掛金の上限は上表の通りです。そして多くのサラリーマンに該当するであろうポイントは表の太線囲いの欄です。大手企業であればここに該当するはず。そうでない場合は一つ上の企業年金は企業型DCのみの欄に該当するはずでしょう。

また今回の制度改正で掛金がらみで変更になったポイントとしては、月ではなく年でみてくれるようになったということでしょう。どういうことかと申しますと、現行制度では年間掛金上限額を12等分した月額上限も設定されていたのですが、今回の制度改正で月額上限が撤廃されました。つまり賞与の月や自分の相場観に基づいてまとめて投入することができるようになったということです。毎月数万も積み立てるのはちょっとという方で、上限額まで使い切れていなかった方でも、賞与月にまとめて投入することができるので、上限まで使い切りやすくなりました。

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